夢うつつの状態で、寮に戻る。

部屋では竜牙が待っていて、帰ってきた俺を見て意味深な表情を浮かべていた。



「それで、密会はどうでした?」

「……」



どうと聞かれると、返答に困る。

鈴蘭と過ごした時間は、ただただ幸せな時間だった。



「おや……黙り込んでしまうなんて……夜明、まさか本当に恋をしたんですか?」

「恋?」



自分には一生縁がないと思っていたその言葉。



「……そうか」



これが、恋か。

今まで色恋にうつつを抜かす人間が理解できなかったが、鈴蘭と出会いこの身で思い知った。

この強い感情こそが恋だというなら、全て納得がいく。

あいつを求めるのも……そういうことなのか。



「おやおやおや……おやおやおやおや……!」