鈴蘭がいなくなった方向を見つめたまま、自然と口が動いていた。



『ご主人……?』

「……あいつが欲しい」



何かを強く求めたのもまた、初めてだった。

あいつは、知らない俺ばかりを引きずり出してくる。

そしてそれを心地よく思っている自分にも驚いた。



『なんと……!』

「明日も行く。あいつに礼をしないと気が済まない」



昼はこの裏庭で過ごしているようだから、ここに来れば会えるだろう。

これっきりで終わらせるつもりは毛頭ない。

あいつの全てが知りたい。全てを俺のものにしたい。

様々な感情が一気に溢れて、もう自分ではコントロールできない。

可愛い、いじらしい、そばにいたい……あいつのあの笑顔を、ずっと見ていたい。

これは一体、なんという感情だ。