魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

それに、まだ名前すら名乗っていない俺が……追求する権利もない。



「わからないことがあれば、いつでも聞け。……まあ、ブランについては俺も詳しくないが」



困ったことがあれば、力になりたい。

そんな無理に作ったような笑顔は……させたくない。

鈴蘭が、俺を見てなぜか驚いている。

そして……もの悲しげな笑顔が、和らいだ。



「ありがとうございます」



どこかぎこちないが、嬉しそうな微笑み。

花が咲くような愛らしい笑顔に、心臓を射抜かれるような衝撃に襲われた。

……なんだ、これは。

こんな途轍もなく激しい感情は知らない。

とにかくこいつが可愛らしく見えて、今すぐに抱きしめてしまいたくなった。