「何よこれ! ガラスが曇ってるじゃない!!」



お母さんの大きな声と、グラスが割れる音がリビングに響いた。

私はその場に座り込んで、深く頭を下げた。



「ごめんなさい、お母さん……」

「この子は洗い物ひとつできないのかしら……情けないわ」



お母さんは呆れながら、ため息をついている。

割れてしまったガラスの破片を見ながら、胸が痛んだ。

綺麗なグラスだったのに……私がきちんと洗わなかったせいで……。



「お母さん、大丈夫? お母さんの手が切れたら危ないから、片付けはお姉ちゃんにさせよう」



妹の星蘭が、お母さんに寄り添いその手を握った。

星蘭のその言葉でお母さんの機嫌がみるみるうちに直っていく。



「星蘭は鈴蘭と違っていい子ね。自慢の娘よ」



そう言って、お母さんは再び私に視線を向けた。

星蘭に向ける慈しむような眼差しとは対照的な……嫌悪に満ちた瞳で。