魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

今まで俺に近寄ってくる女を全て避けて生きてきたせいか、どう接すればいいのかわからない。

……まず、俺はどうしてここまで必死になっているんだ?

その理由も、はっきりしないままだった。



『鈴蘭様! もしや昼食中でしたか? わたしたちのことは気になさらず! ささ、食べてください!』



ああそうか、昼食か……。



「い、いただきます」



ずいぶん小さいサイズの弁当箱を取り出して、急いで食べはじめた鈴蘭。

俺は邪魔をしないように静かに、隣に座った。



「あの、フードさんは……」

『フードさん?』

「あっ……失礼しました……」



もしかして、俺のことか……?



「いや、呼び方はなんでもかまわない」



こんな格好をしている上に、名乗らない俺が悪い。