精神を統一させ、昨日の裏庭を眼に浮かべる。

再び目を開けると、目的地に着いていた。

……いた。

真っ先に目に入った、ベンチに座る女の姿。

女は驚いた様子で、こっちを見ていた。

会えたことに、俺の脳内では歓喜の鐘が鳴り響いた。

初めて自分の目で見つめた女は――ラフ越しに見た何倍も美しかった。

うるさいほどの心臓の高鳴りを感じる。

落ち着け……まだ会ったばかりで、動揺してどうする。

まずは、名前が知りたい。



「お前……名前は?」



女は、目を見開いて俺を見ている。

その瞳に……若干の怯えが見えた。

……まあ、この格好だ。仕方がない。



「双葉、鈴蘭です」



逃げられるかもしれないと思ったが、案外すんなりと名乗った女。