そんな……。

いじめられていた小動物を助けたのは当然のことだし、お礼をもらうようなことじゃない。

きっと誰だってあの場にいれば助けただろうし……そんなことでお礼をもらうなんて間違ってる。



「欲しいものがあるならなんでも言ってみろ。用意する」



それなのに、かたくなに引き下がらない彼に困惑してしまう。



『ご主人……! 鈴蘭様が困っております!』



ラフさんが助けに入ってくれて、顔は見えないけれど彼が一瞬たじろいだのがわかった。



「……悪かった、困らせたいわけじゃない」



なんだろう……まだ会ったばかりで、彼のことは何もわからないけど……。



「いえ……」



悪い人では、なさそう。