な、何っ……!?



「――おい」



風が止んでから、ゆっくりと目を開けた。

目の前にいたのは……ひとりの、青年。

長身で、180センチ以上ありそうな大柄な人。だけどシルエットはシュッとしていて、モデルのようなスタイルだった。

フードがついたパーカーに、スウェットのようなズボン。どちらも真っ黒で、全身が黒で覆われている。フードを深くかぶっていて、顔は見えない。

ただ、彼が私を見ていることだけはわかった。

唯一見える彼の薄い唇が……ゆっくりと開く。



「お前……名前は?」