「憧れというか……お姉ちゃんが怖いから、家にいるのが苦痛で……」

「そうか……」



この学園は、魔族は全員寮生活をしている。

セキュリティも備わっていて、登下校をするよりも寮生活のほうが安全だからだ。

それに、勉学にも集中できる。

人間は、原則寮には入れない。

人間が入寮する方法はひとつ。婚約者の部屋に同居という形で入るしかない。

もともと、寮の部屋は十分ふたりで暮らせるほどの広さを用意されている。

婚約関係にあり、魔族側が許可を出せばすぐに入寮は可能だ。


だが……俺はどうしても、それだけはしたくはない。

ひとりの時間が好きで、他人と暮らすのが苦痛だからだ。

星蘭はよく言えば明るく、悪く言えば騒々しい。

星蘭とふたりで暮らすのは……まだ考えられない。