魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~




不快きわまりない態度を、鼻で笑い飛ばす。

だがその時、一瞬……鈴蘭が、いつもとは違う表情を見せた。

何か言いたげな視線を俺に送ったかと思えば……また、いつもの無表情に戻った鈴蘭。

気のせいか……?

……まあ、気のせいだろうな、こいつはかばいようがないほど最低な女だから。



「俺たちの婚約破棄は成立だ。本題に入る」



俺は星蘭に歩み寄り、形式通り跪いた。



「たった今、俺と星蘭は正式に婚約者になったことを宣言する」



星蘭が……嬉しそうに、顔をほころばせた。

教室中が、歓声に包まれる。

どうやら他の生徒も星蘭が姉に虐げられていることは知っていたらしい。

さながら、かわいそうなシンデレラがハッピーエンドを迎えた時のように……教室内は祝福の言葉で溢れていた。