「ルイス様が……かわいそうで……」
肩を震わせて泣いている星蘭。
俺はこみ上げる怒りを鎮めるように、息を吐いた。
鈴蘭……。
あの日、あの瞬間……あいつに一目惚れをした自分が情けない。
こんな女に俺は……一生を誓おうとしたのか。
「鈴蘭、お前との婚約を破棄する」
翌日、俺は鈴蘭に婚約破棄を突きつけた。
「異論があるなら言ってみろ」
これが最後の情けだ。
まあ、星蘭の言う通りプライドの高い女だとしたら……こんな大衆の前で俺にすがりつくようなことはしないだろうが。
「……ありません」
無表情のまま、そう言った鈴蘭。
最後までこいつは……最低の婚約者だった。
「そうだろうな。お前はもとより、俺に不満があったそうだからな」

