魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

理由は様々だが……見かねた鈴蘭が、嫉妬をして文句のひとつやふたつ言ってくるものだと思っていた。

そして、ふたりの間で口論になれば、俺が仲介に入って丸く収めてやればいい。

だが……あいつは一向に俺に何も言ってこない。

俺はあいつが星蘭に謝り、心を入れ替えるのなら……全て水に流してやろうと思った。

俺の婚約者としてあるまじき過去の行いにも目をつむり、黒闇神を崇拝していたことも……許してやろうと思っていた。

そんな俺の好意を踏みにじる気か……?

泣いて謝ればまだ可愛げがあるものの……やはり図太い女だったか。



「お姉ちゃん……昨日、お礼を言ってきたんです」

「何?」

「ルイス様がいなくなって、清々した……星蘭のおかげだって……」



そしてこの星蘭の発言が、決定打になった。