【side ルイス】



入学式で疲れ、ひと息つくため非常階段に行った。

先客の女がいて、そいつが振り返った時……そいつの姿を見て、天使が舞い降りたのかと本気で思った。

一目惚れだった。

他に……説明のしようがないほど。



「俺と、婚約してくれ」



今すぐに俺のものにしたいと思った。

バカバカしいと思っていた婚約制度も……この時のために用意されていたのかと、あれだけあざ笑っていた「運命」という言葉を信じたんだ。

こんな――女のために。

鈴蘭がとんでもない女だと知ったのは、婚約を結んだ翌々日だった。






「そうか……気にしなくていい。用事があるなら済ませて来い」



昼食を取っている最中、鈴蘭は教師に呼び出されていたらしく、席を立った。