魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

ただ婚約の解消が悲しかったというより、ルイスさんにあの目で見られるのが苦しい。

ルイスさんの優しい微笑みを知っていたから、なおさら辛かった。

最後に話がしたかったと、未練がましく思ってしまう自分が嫌だ。 

私は……臆病者の、意気地なし……。



「おい、なんでノワールの使い魔がうちのブランの棟にいるんだよ……!」



大きな声が聞こえて、ぴたりと涙が止まった。

え……?



「ピッ! ピイッ……!!」



鳥の、鳴き声……?

お弁当をベンチに置いて、声が聞こえたほうを覗き込む。

すると、そこにはブランの生徒数人が、鳥を囲んでいる姿があった。

色は真っ黒だけど、形は鳩のような丸くて可愛いその鳥さん。

あろうことか、その生徒たちは、鳥さんに水をかけた。