魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~

私はお弁当を持って、教室を出た。

前以上に、教室に居辛くなってしまった。

あの空間にいるのは、とても息苦しくて……いつも逃げだしたい気持ちでいっぱいだった。

裏庭のベンチに座り、息をつく。

休み時間のたびに、逃げるようにこの裏庭に避難している。ここはいつきても誰もいなくて静かで、私にとっての秘密基地。

早くお弁当を食べて、本を読もう。

お弁当箱を開こうとした時、上の階の廊下に人の姿が見えた。

あ……。

星蘭と、ルイスさん……。

楽しそうに話しながら、廊下を歩いている。

ふたりが幸せなら……それでいい。本当にそう思っているけど、それでも涙が溢れた。

ルイスさんはきっと、私のことを恨んでる。

いつも私を見るあの目が……お母さんのものと重なるから。