【桃華side】


「杏とふたりで、よかったの……?」


どこか一歩引いたような、でも気になると言わんばかりの目に見つめられる。


「やっぱ、バレてた?」


「うん……というか、遥も、知ってると思う」


「まーじーかー」


私の大好きで大切な自慢の妹、橘胡桃の彼氏であり、私の幼なじみでもある、弓削遥。

そしてその遥の双子のお兄ちゃん、弓削杏に。


私、橘桃華、片思いしてます。


「いつから気づいてた?」

「んー……なんとなく、だけど、中学のときからかな」


「まじか……」


必死に隠してたつもりだったんだけどなぁ……さすが双子。やっぱり分かっちゃうか。


「私といっしょだね、桃華」


「え?」


「私もだよ。
私も遥のこと、中学のときから好きなんだよ」


「えっ、まじで!?」


帰ってきてからまだぜんぜん経ってないのに、あたし、どんだけ「まじで」使ったかな……。


「そっかー、中学かぁ……。
ちなみにだけど、具体的な瞬間とかは、覚えてる?」


「んー、さすがにそれは覚えてないけど、たぶん、遥の心の声が聞こえ始めたときからかな」


無自覚だったけど、あれが遥への気持ちに気づく、きっかけだったんだと思う。


「そっか……」


ねえ、胡桃。

双子って、好きな人を好きになる瞬間も同じなのかな。


「あたしもだよ」

「え?」


「あたしもいっしょ。
杏を好きになったの、胡桃が遥の心の声、聞こえるようになったときから、だよ」