もう、キスだけじゃ足んない。



「俺は、いじめて、泣かせて、縋らせて、最後にめちゃくちゃ甘やかすとか、そんなこと絶対にしたくないし、しない」


「はる、か……っ」


「だって俺でこんなとけて、かわいくなってる表情見せられたら、もっともっと気持ちよくしてあげたいって思うから」


「ん……っ」


「俺の覚悟しろよ、は、胡桃の理性がゆるゆるになるまで、なにも考えられなくなるまで、」


かわいい声、抑えられなくなるまで。


「とかしてあげること。覚えといて」


「っ、はる、か……っ、」


「ん、今はここまでにしとこうな」


ちょうどチャイムがなって、唇を離した遥にぎゅうっと抱きしめられた。


「っ、かわいい……やっぱ耳、弱いね」


ちゅっと耳にキスが落ちてきて、また震える私を、甘く甘く見つめる遥。


「立てる?
教室までだっこしようか?」

「ばか……しなくていい」

「残念」


そしてゆっくり私を下ろすとあるものを取り出して私に渡すと、まぶたに一つキスを落として。


「あ、それと……」


はちみつみたいなどろりとした甘い声で、囁いた。


「マスク、しといて。
そんなとろけた顔、誰にも見せたくないから」