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「やだやだー!
くるみちゃんとはなれたくないー!」

「わたしもー!」

「こーら。
胡桃のこと困らせんな。
ごめんな、胡桃。今日はありがとう」


「いいよいいよ。
私もめちゃくちゃ楽しかったし」


気づけばもう夕方。

さすがに双子ちゃんたちはお家に帰らなきゃだし、私たちもおばあちゃんが待ってる。


「ううっ、さみしいよぉ……」

「まどかちゃん……」


涙をぽろぽろこぼすまどかちゃんに、ぎゅっと胸が締めつけられる。

ちょっとの時間だったけど、遊べて楽しかった。


「くるみちゃん、また来る?」

「うん、また遊びにくるよ」


「ぜったい?」

「ぜったい!」

「ぜったい、ぜったい?」


「うん。ぜったいぜったい!
またいっしょに、たくさん遊ぼうね」

「うんっ!」


目を真っ赤にして泣いていたふたりだけど、ようやく笑ってくれた。


「くるみちゃん!」

「ん?」


「はるかくんも!
しゃがんでしゃがんで!」

「ん?どうした?」


遥も私も、お互い顔を見合わせて、ふたりでしゃがみこんだその瞬間。


ちゅっ。


「えっ!?」


頬に感じた優しい感触。


「えへへ、またね、くるみちゃん!はるかくん!」

「バイバイ遥お兄ちゃん!」


「く、胡桃!」

「なに、伊予く……っ!?」

「おい、伊予!?」


双子ちゃんたちと同じ。

頬のそれに、呆然とする私。


「またいつでも遊びに来いよ!
俺胡桃のこと待ってるから!」


「い、伊予くん……!」

「遥!ざまーみろ!」


双子ちゃんの手をとり、真っ赤な顔して帰っていく伊予くん。


「っ、あんのやろ……」

「ちょっ、遥!?」


だめだめだめ!

それはだめだって!


「殺す……」

「だからだめだってーーーッ!」


それから今にも般若の顔して伊予くんを追いかけていこうとする遥をとめるのがめちゃくちゃ大変だった。