もう、キスだけじゃ足んない。



んん?

んんん??


あれ、伊予くんってこんな性格だったっけ。

昔「胡桃ちゃん、胡桃ちゃん」ってうしろをついてきた弟みたいな伊予くんじゃなくて。


「は?」

「あ?」


に、睨み合ってる……。


さっきまではめちゃくちゃニコニコしてたのに、今はグッと眉間にシワが寄ってる。

遥も……。

そういや昔も、ふたり、いっつもこんな感じだったっけ……。


「胡桃。
せっかく久しぶりに会えたんだしさ、ふたりで話そうよ」

「えっ!」


「胡桃は俺とふたりで来てんの。
こっちはめったにないオフなんだから、邪魔すんな」


「テレビ出てるからとか知らねーし。
その顔面使って、他の女でも引っかければ?」


「おまえ……」


瞬間。

グッと遥のまとう空気の温度が下がった気がした。


「はる……」

「ね、胡桃。あっち行こ」

「あっ、ちょっ、伊予く……っ」


グイッと空いた手を引っ張られて。


「おい、伊予……」


うしろで地を這うような低い遥の声が聞こえたとき。