それから。
「終わったよ……」
「よっしゃ!」
うっ……かわいい。
パアッと華が咲いたみたいに頬を緩ませた遥が今度は正面から抱きついてくる。
「ここがいい?ベッドがいい?」
「え?」
「胡桃のことめちゃくちゃに甘やかすつもりだから、俺はベッドのほう、オススメするけど」
「っ、えっと、きゃあ!?」
「俺の首に腕まわして。
ん、そうそう、上手」
いい子だねって、おでこに優しい口づけ。
甘い甘い瞳に見下ろされて、お姫さまだっこのまま、ぎゅっと抱き寄せられた。
「胡桃……ベッドで、いい?」
うん……遥と、ベッドがいい……。
口には出さなかったけれど、遥の腕に力が入って。
そのまま寝室のほうへ向かおうとしたときだった。
ブーッブーッー……。
この音、は……。
「……俺、明日明後日オフだから電話かけてきたら殺すって清見脅したんだけど」
「殺す!?」
なっ、なんて物騒なこと言ってるの!?
慌てて思考をクリアにして、首を回してテーブルに置いてあるふたつのスマホを見れば。
あ、れ……。
「胡桃、ベッド行こう」
「ちょっ、ちょっとまって遥!
スマホ!私のスマホだから!」
「胡桃の?」
慌てて下ろすようにお願いすれば、遥は渋々そうしてくれた。
こんな時間にだれ……えっ!?
「お母さん!?」
「せとかさん?」
電話の相手は、橘せとか。
正真正銘、桃華と私のお母さんだった。



