【遥side】


「bondを解散して、芸能界を引退する?」


杏と、初めて清見に決意を話したとき。


「そうか。やっぱりな」


え、なにこの反応……。

清見は、驚くどころか、そうか、としか言わなかった。


「驚かねーの?」

「そうだな」

「反対は?」

「ないな」

「……」

「……」


「え、本当に千歳くん?」

「清見だよな?」

「俺に決まってんだろ!」


じゃあおまえらの前にいるこの俺は誰だよ!

なんて華麗なツッコミ。


「なんとなく、察してたよ」

「え?」

「特に遥」

「俺?」

「おまえの場合、胡桃ちゃんと付き合い始めたとき……いや、元々芸能界に入ったときから、考えてたことなんじゃないか?」


「……」


じっと清見が見てきて、俺はゆっくり息をはいた。


「そうだよ。胡桃と付き合えた暁には、芸能界は引退しようと思ってた」