もう、キスだけじゃ足んない。

***


「それ、課題?」

「うん」


ごはんを食べて、私が先にお風呂入って。


「来週提出の……って!?」

「どうかした?」


「なんでまた服着てないの!?」


座っていた私のうしろからのぞきこんできた遥。

やけに肌色が多いと思ったら……!


「だって胡桃、前に俺が上半身裸で部屋行ったらめちゃくちゃ喜んでたじゃん」

「喜んでない……!」


語弊がありすぎる!

てか着痩せするタイプなのかなんなのか、相変わらず腹筋やばいし、

前に私の部屋や旅館でキスしたときのこと思い出しちゃうから、ほんと、やめてほしい……。


そもそも遥、ふつうに服着てるときもそうだけど、キスするときの色気が……。


「ぜんぶ聞こえてるよ。
腹筋やばいとか、キスするときの色気がどうとか……」


「もっ、もう、やめてーーっ!!」


どんな色男だよ、ばか……!


「色男でごめんな?
だって構ってほしくて」


「なんでうしろに座るの!?」


てか服を着ろーーーッ!!


「だめ……?」

「それ、は……」


ああっ、もう!

だからその熱っぽい目、やめてってば!


「胡桃……」


お腹の前に腕が回って、ぎゅっと抱きしめられて。

肩にグリグリ顔を押しつけられて。

「好き……」


っ〜〜、近い近い!

集中できない!!

服越しとはいえ、素肌のせいか、背中に感じる体温は高いし、耳にかかる吐息が甘くてぞくぞくする。


「なにエロい考えてんの」

「そっ、それは、遥が……っ!」


クスッと笑う声が耳元で。

そんな格好で抱きつかれて、集中力続くわけないし、平常心でいられるわけない……!


「大丈夫。
俺が教えてあげるから」


「は、遥はもう、終わったの?」

「ん、終わってる」

「いつの間に!?」


サラリと言われてびっくりする。

課題なんていつやってるの!?