もう、キスだけじゃ足んない。



まだここは玄関で。

まだ靴も脱いでない状態なのに。


「はる、か……っ」

「胡桃……」


『やっとキスしてもらえた……うれしい、しあわせ』


甘い声で、甘い心の声に体中が支配されて。


『もっと、してほしい……』


きっと無意識。

心の奥底の、胡桃の本心。

こんなたまらないおねだりなんかされちゃったら。


「っ、はる、か……っ」

「……っ、は、胡桃、」


靴脱ぐ手間も惜しいくらい。

グッとその腰を引き寄せて、深く深く口づけて。


「俺も……」

「っ、えっ、」

「俺も、ずっと、胡桃にふれたかった」


仕事中も、数えきれないほど何度も思う。

少し離れるだけでだめなんだ。


胡桃がたりない、胡桃にふれたい。

胡桃がほしい。


「っ、あ……はぁ、」

「好きだよ……めちゃくちゃ好き」

「私も、好き……っ」


とまらなくなる。


『遥、遥……っ、好きだよ、好き』


こんな無意識に名前呼ばれて、好きだって言われたら。

加減とかそんなのもうどうでもよくなって。


「胡桃……っ」


心の声で伝えてくれる分、俺も好きだって、心の声が聞こえなくても、ずっとずっと胡桃が好きなんだって伝えたくて。


「っ、は……かわいい、すげえ好き」


ぎゅっと力のこもる手に応えるように俺も握り返して、胡桃の心の声が聞こえる倍以上、名前を呼んで、好きだって言って。


「は、ふっ、はる、か……っ」


俺の体温からもこの気持ち全部が伝わったらいいのにって、何度も何度も角度を変えて唇を重ねる。


「夜は毎日俺からしてあげる。
だから、もっともっと、甘えてよ」


「うん……っ、でも、こんな激しいの、心臓もたない……っ」


「っ、もうそんなかわいいこと言うなって……っ」


あー……もうこれ、キスだけで日跨(また)ぐわ、ぜったい。