もう、キスだけじゃ足んない。




「なんか言いにくいこと?」

「うっ、えっと、」


『自分からお願いとか、はずかしい……引かれないかな』


おっ。
お願い、さっそくきた。


「引いたりなんかしない。
つか、もっと俺に甘えていいくらい。
胡桃のお願い、ぜんぶ叶えてあげるよ?」


「っ、うう……」


顔、見たい。


手の甲で若干隠れてるけど、はずかしがってるその表情もぜんぶ、一秒たりとも逃したくない。


離れてた分と。

俺がそうさせてるんだと思うと、ぜんぶ覚えておきたいから。


「っ、はる、か……っ」

「うん?」


ゆっくりその手をとる。

赤くなってる……押しつけすぎたのかな。


「っ……」


そこに優しく口づけて指を絡めて。

痛くない程度にぎゅっと力を込めれば、同じように握り返してくれるそれが愛おしくてたまらない。


「言ってよ、胡桃」


聞きたい。胡桃が俺になにしてほしいのか。

俺になにをお願いしたいのか。


どんな難しいことだって、どんな大変なことだって、胡桃のお願いだったら、ぜんぶ応えてあげるのに。


『はずかしい、けど、遥が足りない、から……』

「うん」

「キス、してほしい……」

「……」


「その、前に遥、朝は私で、夜は俺がって言ってたでしょ……?その……今日も一日お仕事で会えなかったし、できなかったから、してほしい、なって……」


潤む瞳。羞恥に色づいた赤い頬。


「……んだよ、それ」

「え……?」


四肢爆散なんて比じゃない。

息止まった。

かわいすぎて、また一瞬死にかけた。


「あのっ、はる……っ、んっ、」