もう、キスだけじゃ足んない。



「えと、なんか、ごめん?」

「なんで胡桃が謝ってるの……」

「な、なんとなく?」

「いいよ、大丈夫……とりあえず今聞いたこと、前にあたしが言ったことも、記憶から削除、よろしく」

「わ、わかった」


「はい!じゃあこの話はおしまい!
それで?なに飲む?」


パンッと頬を叩いた桃華にビクッとする。

さすが、切り替えが早い……。

私もさっきのことは忘れよう、うん。


「んー、なにがいいかな。
なんかさっぱりしたいの飲みたい気分」

「そうだね……」


部屋中の空気が甘ったるすぎて、冷たくてさっぱりしたのが飲みたいかも。

いろんな意味で暑くなっちゃったし……。


「あ、じゃあ、これにする?
前にお母さんたちが来たときに買ってきたやつ」

「なに?これ」


桃華が手に取ったのは、桃のパッケージが書かれた炭酸?らしき缶ジュース。


「珍しいね、桃華。こういうの飲みたいなんて」


「うん……ふだんはこういう甘いの控えてるけど、今日はもう、ね……」


「そうだね。じゃあふたりでこれ飲もっか」


缶のままだと飲みにくいし、コップに入れたほうがいいよねと、桃華がタブを空けて、注いでくれる。


「あ、やば、入れすぎちゃった。
ごめん胡桃、ちょっと口持って行って飲んでくれる?」

「うん……ん、これ、おいしい!」


シュワっと喉に炭酸が焼きつく感じがするけれど、桃の甘さが相まって、いい感じに緩和されてる。


「ほんとだ!え、めっちゃおいし〜!
もうちょい注いでもいい?」

「私もほしい」


思わずふたりでゴクゴク飲んでしまう。

不思議と飲むのがとまらない味。

こんな炭酸ジュース初めて。


こんな体が熱くなってきて、視界がぐらぐらする……あれ?


「ふふふ!なんか急に楽しくなってきたんだけど!」

「なんかわかる。これ、遥たちにもあげ……あ、なくなっちゃった」

「あれ?あたしたちで飲んじゃった?
遥たちの分、ない?あはは!」


なんだろう……。

妙に頭がふわふわする。


なんか楽しげに笑う桃華見てると、私まで楽しくなってきた。