もう、キスだけじゃ足んない。



「遥、お茶ありがとう」

「ん、あったかいのでよかった?」

「うん、ありがとう」

「杏、これ……」

「うん。ホットジンジャー。よく眠れると思うよ」


またまた甘やかされる私たち。

本当、こんなに幸せでいいのかなってくらい、至れり尽くせりだなぁ……。


「じゃあ、チャンネル変えるよ。
胡桃、こっちきて」

「桃華も。こっち」


「え?」
「ん?」


えっと、次は……遥が叩いているのは、なぜか遥の膝の間に見えるんだけど……。


「その通り。おいで、胡桃。
ぎゅーしながら見よ」

「ええっ!?」

「桃華も。ぎゅーしてあげるから、ここ座って?」

「さ、さすがにはずかしいんだけど……」


ドラマを見るだけだと言うのに、なぜわざわざその位置に。

思うことは桃華も私も同じ。


「たっぷり甘やかしてあげるって言っただろ?俺の甘やかすはこんなもんじゃないよ」

「知らないよっ!」

「桃華。さっき言ったじゃん。
たっぷり構ってあげるからって」

「してほしいとは言ってない……!」


こてんと首を傾げて、両手を広げて。


「じゃあ次は俺を甘やかして」

「俺に構って」

「おいで、胡桃」

「桃華、おいで」


たっぷり色気を含んだ声。

妖艶に、砂糖を煮つめたみたいな甘すぎる瞳で微笑まれたら。

「っ……」

「ううっ、」


「はぁ……やっと来た……胡桃、好き。大好き」

「こうしてるの、めっちゃ落ちつく……桃華、好きだよ」


もうその腕の中に飛び込むしかできなくて。

なんだこれ。なんだこの状況。

彼氏と姉とその彼氏と。

4人でドラマを見るってなって、なんで後ろからハグ……。


「あ、はじまるよ」


こんなの、ドラマどころじゃない……!