もう、キスだけじゃ足んない。

***


「はる、か……っ」

「ん……?」

「もう、息、つらい……っ」

「ん、ごめん。
でも、もうちょっと……」


もう、限界だよ……っ。


『ごめん……我慢できない』


そう言って楽屋に来た瞬間からソファーに押し倒された私は、今までずっと、キスされている。


「いいかげん、髪、崩れちゃうから……っ」

「ならこうしよ」


息がつらくてやめてほしいって気持ちを込めて言った言葉。


「だ、め……っ」

「だめじゃない。
ほら。もっとくっついて、ぎゅーしながらキスしよ」


「はるっ……んんっ……」


なのに膝の上に乗せられて、息を整える間もなくまた唇を塞がれたら、もうされるがまま。


「清見さん、呼びにくる、から……っ」

「ふたりでいるのに他の男の名前出すの禁止」


もう、1時間経つのに……っ。

唇、腫れちゃう……っ。


「っ、は……かわいい、胡桃」

「ふっ……ぁ、」


潤む視界の中見える遥の姿。

暑いと脱いだジャケットも、ネクタイも、完全にソファーの下で。


色気、ありすぎだよ……っ。


いくつか外されたボタンから見える、キレイな鎖骨。

とんでもないほどの熱を秘めた瞳。

思考も視界もぜんぶが遥で埋めつくされて、全身がとろとろとけていく。


「服、ソファーの下……汚れちゃう、」

「なに。そんなの気にするくらいの余裕、まだあんの」


「っ、あ……ぅ」

「なら、ここもさわるよ」

「っ、やめ……っ、」

「は……すっげーかわいい声」


するりとなでられた剥き出しの太もも。

ほんと、どうしたの……っ。


さっきスタジオを出る時も、今も。

表情も声も、いつもより余裕がない感じがする。


「もっと、もっと……たりない、」

「好きだよ、好き」


なんて考えている暇もなく、性急に愛を求められてまた深く唇を塞がれるから、必死にしがみついて、応えるしかできなくて。


コンコン。


っ!?