もう、キスだけじゃ足んない。



俺たちの会話を遮るように入ってきたのは日向さん。


「ひゃあああ、かっこいい……あの腕に抱かれるヒロインの子がうらやましい……」


「だって見てよあの顔、あのスタイル!
しかもタキシードって!鼻血出そう……」


何人もの女性スタッフがコソコソ顔を赤くして日向さんを見ている。


シルバーだった髪は黒髪に。

いつもはセンター分けの髪を、今はぜんぶ前に下ろしていて。

漆黒のタキシードに、白の手袋。


「色気やば……」


男のスタッフでも興奮するほどのセクシーさ。

俺はなんとも思わないけど。

事務所の先輩だし、言うて一個上ってだけだし。


胡桃のこと好きな男の1人だし。


俺が見たいのは……。


「胡桃さーん!入りまーす!」

「よろしくお願いします……」


「っ……」


その姿を見た瞬間。

ぶわっと顔が熱くなって、思わず手で口を押さえる。

ああ、もう……ほんとにかわいい。