もう、キスだけじゃ足んない。



桃華は私の上に乗ったまま。

私は手錠をはめられ押し倒されたまま。


そしてふたりは……一瞬真顔になったけれど。


ひっ……!


すぐに音がつくくらい、にっこり笑う。


「あの、遥、これはねっ、」

「あのね、杏、実は……っ、」


「「……」」


やばい……この、雰囲気は……っ!


「杏」

「おつかれ遥。行くよ、桃華」

「えっ、ちょっ、杏!?」


私の上から退いた桃華の腕を引いて早足に出ていく杏。


「あの、遥……、」


手錠、外して……。


「あ、いーよ、そのままで」

「はっ……え、きゃあ!?」


なんとか起き上がろうと思ったら、手錠はついたまま。


「ベッド行こうね」

「えっ、ちょっ、待っ……っ!」


ドサッ。

抱き上げられて運ばれたと思ったら、気づけば遥のベッドの上。


「はるかっ、て、手錠……っ」

「うん。痛い?」


私の上に跨った遥は、私の手首をすりっとなでる。


「っ、痛くは、ないけど……っ、」


「ん。いくらおもちゃとはいえ、胡桃のこと、傷つけたくないし、痛いことしたくないから」


「う、うん……っ、」


あれ……もしかして。


「ん?」


答え方、まちがえた……?


「うん。まだ外さねーよ」

「えっ!?」


優しく細められた目は一瞬で。


「っ、はる……っ、」


すいっと両手をそのまま頭上に持っていかれて。


「ほんと、こんなえろい格好しちゃって」

「っ、ん……!」


剥き出しになった胸元。

つつーとゆっくり鎖骨からなぞられてびくりとすれば、ふっと笑う声とともに、耳に口づけが落ちてくる。