もう、キスだけじゃ足んない。




【届いた?俺のボイスメッセージ】


【届きました……耳、とけちゃうかと思った】


【……】


【遥?】


【ほんとさ、なんでこう、離れてるときにそういうこと言うかな。もっと会いたくなる】


【うっ……それは、ごめん】


【いいけどさ、かわいいし。めちゃくちゃかわいいし。あー……キスしたい】


【もう、ばか……】


【ふっ、照れてる?
超かわいい】


【もう、休憩終わっちゃうよ!】


【はいはい。胡桃】


【ん?】


【仕事がんばってくる。
いってきます】


【うん、いってらっしゃい】


暗くなったスマホをぎゅっと胸の前で抱きしめて、目を閉じる。


日に日に大きくなるこの思い。

いつか、我慢できなくなりそうで、こわい……。


遥、遥……っ。


昨日遥とキスしたとき。

遥が言っていた言葉。


『離れたくない……っ、』

『いっしょにいたい……っ』


胸が、またズキンズキンと悲鳴をあげる。


私、も……っ。


「寂しいよ……」


そう、口にした瞬間だった。