もう、キスだけじゃ足んない。



【家で待ってるね】


【ん、終わったら速攻ダッシュで帰る。
あー、早く帰りたい】


【うん】


【胡桃の声聞きたいけど、今は我慢する。
家に帰っていっぱい聞かせてもらう】


【声?】


【うん。かわいいやつ】


っ!?

なっ、なななっ!?


【ばか……!】


お仕事中になに考えてるの……!?


【あー……胡桃のばか生で聞きたい。
あとでも言って?】

【ぜったい言わない!】


メッセージじゃわかんないけど、ぜったい遥、笑ってる気がする……!


【胡桃】


【うん?】


【なんか一言、仕事がんばれるようなやつちょうだい?】


【仕事がんばれるやつ?】


【うん】


なんだろう……仕事、がんばれるやつ。

あ……そうだ。


スマホのとあるアプリを開いて、あることをする。


っ……はずかしいけど、これで……っ!

最初付き合いはじめたころだったら、こんなこと、ぜったいできなかった気がする。


でも今は……。


【これで、お仕事がんばれそう……?】


あのときより、もっともっと。

毎日毎日、声を聞くたび、ふれてくれるたび、遥への好きが大きくなってるから。


私も遥のこと、喜ばせたいって心から思うんだよ。


送った瞬間既読がついて、それから数秒後。


ん……?遥、からも……?


送られてきたそれをタップして、耳に当てれば。


「ボイスメッセージありがとう。めちゃくちゃ元気出た。家帰ったら今日がんばったごほうびに、いっぱい甘やかしてあげる……俺も、大好きだよ」


「っ〜!!」


声、甘すぎ……。