もう、キスだけじゃ足んない。



「久しぶり〜!清見!
ほんとごめんね、無理に頼んじゃって」


黒髪かきあげバングのお姉さんがいた。

この人が、清見さんの言ってたスタイリストさんか……。

見とれるくらいキレイな人だなぁ……。


「せっかくだし、あたしがこの子たちの衣装、担当するわ……ん?」


バチッ。

えっ……!


「きゃあ!momoちゃんの妹ちゃんよね?
お姉ちゃんに似てすっごくかわいい〜!
はじめまして〜!」


「は、はじめまして……」


目が合った瞬間、キラッキラの笑顔で手をとられた。

ま、まぶしすぎる……。


「あのbondの遥くんの将来のお嫁さんなんだって?うらやましいわ〜!」


「お、お嫁さん……」


「なんか、指輪してるのも話広まっちゃってるみたい」


コソッと桃華が教えてくれた。

さすが遥……影響力がすごい。


「遥くんの独占欲は業界でも有名なんだけど、まさかこんな美人さんだったなんて!遥くん、よくOKしたね?」


「あは……あはは」


してないです。

コスプレ雑誌に出るなんて、一言も言ってないです。

正直今すぐ帰りたいです……。


「あなたもかわいいわぁ!
モデルとか興味ない?」

「推し活しか興味ないんでお断りします」


あら〜ショック〜!


あーちゃんにも声をかけているけれど、もちろん一刀両断。


なんか、一つ一つリアクションが大きい人だなぁ……ちょっとおもしろいかも。


「じゃあ、さっそくあいさつも済ませたことだし、着替えてメイクしよっか!衣装はそれぞれの雰囲気に合わせてあたしが選ぶわね!」


「よろしくお願いします!」

「……」

「……」


あーちゃんはめちゃくちゃ気乗りしてるけど、桃華も私も、めちゃくちゃどよーんってしてる。


無事に撮影、終わりますように。