もう、キスだけじゃ足んない。



「桃華のマネージャーから聞いた。
来週の日曜オフなんだろ?
杏もオフにするから!」


「……」


そこまでしてモデルやってほしいんだ……。

かっこいい大人の男の人。

そんな清見さんのイメージがガラガラ崩れていく。


「はあぁぁぁぁ……」

引き気味のあーちゃんと私に、桃華はなっがいため息をつくと、こっちを見た。


「ふたりとも。
こんな汚い大人だけにはなっちゃだめだよ」


「だれが汚い大人だって?」


「賄賂だよ、わ・い・ろ!
覚えとけ!」


「も、桃華……」


グンッと眉を釣り上げて叫ぶ桃華。


さっきコスプレ雑誌が嫌いって言ってたけど、昔なんかあったのかな。


とりあえず清見さん。

ほう、れん、草って、大事ですよ……。


「あーあ……。
杏のためにがんばるしかないか……」

「そうだね!
もうここまで来たら楽しむしかないよ、桃華!胡桃!」


「えー……」


「うーん……」


あーちゃんはコスプレ好きだろうからいいけど、正直楽しめる気がしない……。


「それにあたしたちが着るのって、あのえっろいやつじゃなくて、アニメ系のやつでしょ?メイクガッツリするだろうし、特に問題ない……」


「いーや!
君たちにはその、えっろいの、着てもらうよ!」


「あ、お久しぶりです、南津海(なつみ)さん」