『胡桃がモデル?正気?
アイツなに言ってんの』
『ちょっ、はる……っ』
『俺にはなんも言わないで、直で胡桃に頼んだの?俺通さないで?』
アイツ、まじでいっぺん土に……。
『もうっ!落ちつきなさい遥!
モデルはね、あたしも呼ばれてるから!』
『桃華も、千歳くんから話聞いたの?』
今にも家から出ていきそうな遥を見て、軽く冷静になったらしい杏が桃華に問いかける。
『あたしのスマホに電話かかってきたの。
胡桃に一日だけモデルやってほしいって』
『は?やってほしい?』
『あっ、いや……やってくださいって言ってたかな、あはは……』
あの桃華が冷や汗かいてる。
目はつり上がってるし、声はめちゃくちゃ低い。
こんなに怒る遥、見たことないってくらい。
『ふだんあたしが出てる雑誌とは別のやつらしいんだけど、なんでも知り合いのスタイリストさんにモデル探してるって頼まれたらしくて』
『清見が?』
『うん。
どうしても人手が足りないって泣きつかれたんだって』
『だからって、なんで胡桃に……他に人いるだろ』
『それがいないから困ってるんだって。ちなみにだけど、胡桃以外にもあすみが呼ばれてる』
『は?天草も?』
『うん』
『……』
それからじっとどこか考え込む遥だったけど、しばらくして、やっと口を開いた。



