もう、キスだけじゃ足んない。



『はあ!?雑誌の撮影!?』


『落ちついて、遥……!』


『胡桃。ちょっと俺出かけてくるわ』


『え、どこ行くの……?』


『清見殺りに』


『はっ!?』


『俺も賛成。遥、行こう』


『杏も落ちついて!?』


翌日の夜。


無事付き合い始めたって話を、うちにきた桃華と杏から聞いて、今日はお祝いだねって、4人で話していたときだった。


『遥』


『ん?どうした?』


『ちょっと、話があるんだけど……』

『話?』


きっと、深刻な顔をしていたんだと思う。

杏とソファーで話していた遥だったけれど、目の前に立った私の両手をすぐにそっと握ってくれた。


『俺たち席外すよ』

『ううん、大丈夫……』


気を使ってくれた杏にフルフル首を振る。


『体調わるい?なんかあった?』


座るように促されたけれど、このあとのことが予想できて、私は立ったまま言葉を続ける。


『胡桃?どうし……』

『頼まれて、』


『頼まれて?なにを?』


『その……』


『胡桃』


『……モデル』


『は?』


『清見さんに』