もう、キスだけじゃ足んない。



「ううっ、で、も……っ、」


「でも、なに?」


「その……夢、見てるみたいだから、」


「夢?」


「ずっと好きだった杏に好きって言えて、付き合えて、プロポーズまでしてくれて、」


「っ……」


どうしよう。

俺の彼女がかわいすぎてつらい。


「これが現実だって、もっと実感したいから、キス、したいなって……」


「……」


「杏……?」


「桃華」


「うん、なに……きゃあっ!?」


「ごめん、夜ごはんお預けでもいい?
明日の朝、いっぱい作ってあげるから」


今はもうとにかく、このかわいすぎる彼女をいっぱいいっぱい甘やかしたい。


「うん……いい、よ」


「え?」


「好きに、して、」


もう死ぬ……っ。

遥……俺、もう毎日死ぬわ。


死因、彼女がかわいすぎることによる。


「桃華」


「うん?」


「毎日迫るのは本当だから」


「え?」


2度目の告白をしたときに言った言葉。

両想いだって分かって付き合うようになったからって、俺はやめないよ。


「桃華の気持ちが離れていかないように、めいっぱい愛してあげるから、覚悟しててね」