「心臓、壊れそうなの!」
「はあ?」
「俺のこと好きなのはわかってる。とりあえず俺にベッタベタに大事にされるから、覚悟してねって」
ぎゃああああ!
「っ!?」
むぎゅっとクッションを顔に押しつけて足をジタバタする桃華の声にビクッとする。
ベッタベタに大事に……あの、杏が。
そんなこと言うんだ。
「胡桃ははずかしくなかった!?
自分の気持ちに気づくまで、遥にたくさん好きとか言われて!」
「えっ!?」
ガバッと顔をあげた桃華に、ずいっと顔を近づけられる。
あっ、いや、それはもう……。
「はずかしくて死にそうだった……」
「でしょー!?」
私の場合、心の声聞こえるところからスタートだったから。
もう「好き」以外も、まあいろいろ聞こえてたよね……うん。
「大事に、されればいいじゃん」
「え?」
「杏に。ベッタベタに甘やかされて、桃華も自分の気持ち伝えてあげなよ」
杏、きっと泣いて喜ぶと思うから。
桃華のこと、どれだけ好きかなんて、そばでふたりを見てきた遥と私がこれでもかと知ってる。
「ううっ……胡桃せんぱぁい、」
「胡桃先輩!?」
「だって付き合ってるし、なんなら結婚の約束までしてるし。あたしからしたら恋愛の大大大先輩だよぉ……」
「桃華……」



