「う~ん……勉強のことで悩んでるのかな?」


……ん!?

やばっ、ひとりごと言ってた?


はっとしたときには遅くて、どうやら考えを声に乗せていたらしい。

無意識化のひとりごとって寝言みたいで恥ずかしい。


幸い、放課後の廊下に人の姿はなく、誰にも聞かれずに済んだ。


先生に頼まれ事をされて、気づけばもうこんな時間。

テスト前はぜんぶの部活が休みになるので、授業が終わったらみんな即帰宅。校舎はあっという間に静かになる。


そんな侘しい校舎の廊下を、私は少し早足で歩く。

瞬が私の戻りを教室で待ってくれているからだ。


先に帰ってていいよって言ったのに、

「どうせ帰っても暇だし。俺ん家で一緒に勉強しようよ」と言われた。


この期間をなんだと思ってるんだろう……。

テスト勉強のための時間なんだから、決して暇ではないんですけどね?


でも、一緒に帰れるのも一緒に勉強できるのも嬉しいから、文句は言えない。