そう言うと、みぃくんはうつむいた。
とても不安そうに。
「みぃくん?何か変だよ?」
玄関で。
まだ靴も脱いでいないことに気づき、
「とりあえず部屋で話そう?」
と、みぃくんの手をとると、
「……ドレス。香夜ちゃん、ドレスの夢はまだ持ってる?」
と、みぃくんが呟いた。
「え?」
「香夜ちゃんが夢を叶える時、隣にいたいんだ」
みぃくんが私の手を握り返す。
「自分じゃ救えないって西村くんに言ったって、本当?」
「……」
「そんなことを言うなんて」
みぃくんの手に力が入ったことが、握ったままの手から伝わった。
「怒らないで」
そう言って、みぃくんに顔を見られないように、必死でうつむいた。
今、顔を見られたらまずい。
「なんで?」
みぃくんの声が怒っている。
「なんで笑っているの、香夜ちゃん!」
そう言われて堪えきれず、私はニヤニヤした顔を上げた。



