あの日の夢をつかまえて


ピンポーン。

1時間も経たない内に、みぃくんは帰って来た。



「おかえりー!お疲れさま!」



ドアを開けて迎え入れる。

みぃくんはニコッと笑って、
「ただいま」
と、私を抱きしめた。



「何?今日はみぃくんが甘えん坊モード?」



くすくす笑いながら、私もみぃくんの背中に腕をまわす。



「オレはずっと香夜ちゃんに甘えてるよ」



静かな声でみぃくんが言う。

それからぐいっと両手で私の頬を持ち上げると、唇を重ねた。



「みぃ、くん」



キスは嬉しいけれど。

でも今は、話したいことがある。



「みぃく、んっ、ちょっと」



離れる私を、みぃくんは寂しそうな表情で見つめた。



「話したいことがあるから、ちょっと待って。あのね……」



珍しくみぃくんが、
「その話、今じゃないとダメ?」
と、私の言葉を遮った。



「少しの時間でいいから、私の話をさせて」