あの日の夢をつかまえて


「あの……、澤田さんはお元気ですか?」



西村さんの表情が少し曇った。



「えっと……」



正直に話していいのか、わからなかった。

数日前の出来事が頭の中をかすめる。



「僕の兄弟子が数日前に澤田さんと会った、と話していて。その話を聞いて……、その、居ても立ってもいられなくて」



西村さんの様子から、おそらくあの背の低い男性が西村さんの兄弟子で、西村さんにもみぃくんのことを悪く言っていたんだなと思った。



「僕なんかが会いに行っても、嫌な気持ちにさせるかもしれません。恨まれているのかもしれないですし」



恨む?

みぃくんが?



「最後の対局相手だからですか?」



思わず口に出していた。



「はい。でも僕、兄弟子が言っていたことは違うって、どうしても澤田さんに伝えたいんです」



西村さんは苦しそうな表情で、
「僕、ずっと憧れていたんです。澤田さんに」
と、続けた。