だって、みぃくんから話したい気配を感じたから。
みぃくんは、
『難しいね、仕事を探すのって』
と、穏やかな口調で言う。
「……そうなんだね」
慎重に返事をした。
みぃくんは将棋に全てを捧げるように生きてきたんだと思う。
将棋関連以外の仕事を探すとなると。
やっぱり頭を抱える事態は避けられないだろうな、とは思っていた。
だけどそんな世間だということは。
きっと誰よりも本人が痛感しているんだろうってわかるから。
私はあえて、何も知らないスタンスでいようと決めた。
『明日、会える?香夜ちゃんは忙しい?』
「えっ!忙しくないよ!会いたい!」
みぃくんが嬉しそうに、
『良かった。じゃあ明日、香夜ちゃんの仕事が終わったら会おうよ』
と言って、待ち合わせ場所だけ決めて電話を切った。
明日、みぃくんに会える。
弾むような心を抱えて、私はベッドにもぐり目をつむった。