「なんで、そんなこと言うの」

「先生とは仲良くするのに、僕とはそう出来ないんだ」

「先生は、先生だから。充さんとは違う」

「それってさ………こういう違い?」


顎に手を添えて、真っ赤になった鈴城さんに顔を寄せる。吸い込まれるように体重を移動させた。逃げ場は作らない。


「………っま、待って!」


白く華奢な手が僕の口を塞いだ。


「心臓が、飛び出そう……」


荒く、肩で息をしている彼女を見てやっと頭が冷えてきた。


可哀想に───。


記憶から消してしまうほど憎い存在の僕に想いを寄せられ、そうだとも知らずに振り回される彼女。



ごめんね、好きになって。



思い出させないよう接触を避けてきた僕の我慢の日々を無駄にしてしまうかもしれない。



「どんな形でもいいからそばにいさせて鈴城さん」



そして、ずっと僕のことを思い出さないで。