「本読んでる時の柚香ちゃん、なんていうかね、絵になりすぎて壊せないみたいなのがあったのよ。可愛くて儚いみたいなオーラがでてるのよ。まじで。本当は話すと面白いのに」
私はうーんと、首を捻る。
「可愛くはないと思うけど。告白だってされたことないし」
三坂さんは人差し指を立てて、左右に振った。わかってないなあとため息をつく。
「高嶺の花だから。柚香ちゃんに告白できるのは様々な覚悟とか自信がないと無理なんだよ」
「よく分からないなあ」
「分からないくらいがちょうど良いのかもね。自覚あったら、女子から妬みの視線を頂戴するかもだし」
「……あ〜」
今の話を聞いてひとつ思い出したことがあった。
「どうした?」
「妬みと関係ないかもしれないけど、この前靴箱に手紙が入ってたよ」
そう言うと三坂さんは「ほーう」とニヤニヤしはじめた。
「告白?」
「ううん。あれは呪詛だったね」
私の答えに、三坂さんは乗り出した身体を元に戻して苦笑いをうかべた。
「それ、よく真顔で言えるなあ」
「なんかもう既に誰かの怨みは買ってそう」
「あらまあ、手遅れだったかあ〜」
三坂さんは苦笑いして、シャーペンのノック部分でこめかみをかく。



