「腹減ったな」
しばらく見つめ合った後、ぽつりと修哉が言って2人で笑う。

「小春何食べる?」
お土産にもらったお弁当を温めに修哉は離れて行った。

修哉が急に離れて、ちょっと寂しく思う。

ちょこちょこと後ろを付いて行く。

「修哉さんの部屋は広過ぎてちょっと寂しいですね。」

「だろ。だから小春の部屋くらいがちょうど良かったんだ。手に届くとこにいつも小春が居るから。」

ダイニングテーブルの椅子を引き、小春を座らせ、お弁当を選ばせてくれる。

オムライスを指差す。
「やっぱりね。」と微笑み、
お弁当を2つ持って、温めにキッチンに行ってしまった。

もう一度部屋をよく見渡すと、窓際奥にグランドピアノを見つける。

「うわぁ。すごいグランドピアノだ。」
小春が感嘆の声を上げる。

「そう。あれがあったから住む事を決めたんだ」

「後で弾いてくださいね。」
ニコニコ顔で言うと、

「小春が歌うなら伴奏してやるよ。」
修哉が、いたずらっ子の顔で言う。

プロを前にして歌える訳ないじゃない。
「む、無理ですよ。『YUKI』の前で歌える訳がありません」

笑い合い。

2人はたわいも無い話をしながらお弁当を食べた。