クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

「ありがとう、ございます。
私は修哉さんに頼ってばっかりで何も返す事が出来ないのが辛いです…。」

私は精神的にも、経済的にも、頼ってばかりでなんの役にも立って無い。どうしようも無く無力で辛い。

「小春が笑っていてくれるだけで嬉しいから、気にするな」
そう言って頭を撫でてくれる。
こんなに思ってくれるのに、私のこの自信の無さが先輩には相応しくないと思ってしまう。

「俺は小春が思ってる程出来た人間じゃない。今ここに居るのは小春のおかげだって言っただろ」
励ますようにそう言って、
いつ買ってたんだろう?
コンビニのサンドイッチとミルクティーを朝ごはんにと渡してくれた。



ありがとう先輩。私も先輩に相応しい人になりたい。
先輩の支えになれるように頑張りたい。

サンドイッチを頬張りながら、改めて決意する。

お店には先輩のおかげで10分前に着く事が出来た。
大きな荷物を車に預け貴重品を入れたリュックとガジュマロの木だけ抱きしめて車を降りた。
「ありがとうございます。コンビニのバイトが終わったら連絡しましすね。」
気分を上げるように、無理にでも笑う。

「その木持ってくのか?」

「ずっと車の中だと枯れちゃいそうなので」

「ここの仕事終わったらタクシー使ってコンビニに行って。」
一万円を取り出して渡してくる。

「いやいや。タクシー代を稼ぐために働いてよみたいになっちゃいますから、大丈夫です。」

「美容院は月曜休みだろ?
奴がその気になればどこでだって小春くらい簡単にさらえるんだ。

もっと警戒してくれ。
分かった。暇な剣持に送迎頼むから、絶対乗る事。俺も6時には行けるようにする。
俺が安心出来ないから、言う通りにして」

心配症の先輩はそう言い残して、車を走らせ行ってしまった。

この一万円はどうすれば?
先輩の心配症度がまた上がってしまった。
きっとこのお金も返した所で受け取ってもらえないんだろうなぁ。

小春は、はぁ。とため息をついてお店に入った。