帰りは代行を頼んで先輩の車の後部座席に2人、手を繋いで座る。
代行の人もいるし、恥ずかしいから手を離して欲しいんだけど…。

いたずらっ子の目をした先輩からは逃れられなかった。
それでもお酒のせいかふわふわして居心地が良かった。


少し眠くなりながら家に着くと、なぜが膝下に手を通し先輩が私を抱えあげる。

ふわっと浮遊感がしてキャッと小さく言って先輩に思わず抱きついてしまった。
「だ、大丈夫です。ちゃんと歩けますから、下ろして下さい。」

どんなに言っても降ろしてくれず、いとも簡単に階段を登って部屋にたどり着く。

鍵を慌ててバックから出すと、抱き抱えられたまま、鍵を開ける羽目になった。

恥ずかしい。誰にも見られてませんように。
心の中で祈った。


修哉は車から降りた時、道の方からこちらを伺っている人影があるのを見逃さなかった。

小春にこれ以上近づけさせないように、牽制も兼ねて抱き上げたのだ。


部屋に入ってやっと地に足が付く。
「全然、平気なのに」
唇を尖らせて修哉を睨む。

言葉とは裏腹に靴を脱いだ拍子に段差に足を
取られ転びそうになる。
修哉に笑いながら後ろから抱き止められた。

「ほら、危ないから気をつけて。」

顔が赤くなるのを感じ、急いで部屋のソファに逃げた。
修哉からお水を渡され、素直に飲む。
冷たい水が熱った体に心地よく流れて
「美味しい」
と思わず笑う。

修哉は隣に座り、コップを奪い自分も一口飲んだかと思うと、突然キスをしてきた。

啄む様に角度を変えて何度もキスをされる。されるがままに身動きもとれず受け入れるしか無かった。

「口あけて。」
早急に言われ、えっと思わず声が漏れた瞬間に、修哉の舌が潜り込みあっと言う間に掻き乱される。
「うっ……」
苦しくて思わず声が漏れる。

「鼻で息して」
初心者の小春に優しく教えて、また繋がる。

怖いとか言う感情も無くただ、愛しいと思う気持ちが溢れてずっとこうしていたいとさえ思う自分がいた。

「まずいな。止まらない」
修哉の呟きを聞いて目を開けると、目の前に満面の笑顔があって、つられて笑顔になる。

急に恥ずかしくなって、修哉の胸に飛び込み頭をぐりぐり押し付けてしばらく顔を上げる事が出来なかった。

修哉は、そんな小春をただただ愛しくて抱きしめながら頭をなでていた。