最後にデザートとコーヒーが運ばれ、ひと息吐き、ピアノを眺めながらぽつんと呟く。
「先輩の弾いてる所、見たかったなぁ」
修哉はふっと笑って、
「小春の為ならいつでも弾くよ。」
と、言って立ち上がりオーナーの所に行って何やら話しているようだ。
しばらく見守っていると、修哉がピアノに移動して椅子に静かに座り、気付くとBGMが止まる。
修哉は鍵盤に手を置き、一呼吸すると静かに弾き出した。
キラキラ星をアレンジしたもので、
始めは静かだんだん楽しく早く壮大に弾いていく。
お酒を楽しんでいたお客さんも、
話しを止めてみんな修哉の奏でるピアノに聞き入っている。
まるで、修哉にスポットライトが当たっているかの様にそこだけが光り輝いて見えた。
時間が過去に戻ってくような不思議な感覚の中にいた。
修哉と2人音楽室で聞いたピアノの旋律と重なって懐かしさに今にも涙が溢れそうだった。



