クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

「小春ちゃん、体調は大丈夫ですか？
大変でしたね。」

「剣持さん、いろいろありがとうございました。」
頭を下げようとして、はっと思って止める。修哉さんの目線が痛い。

「剣持は自分の仕事をしたのみだ。小春が気にかけなくてもいい。」
いつもながら剣持さんに厳しいなぁと思う。

「そうですよ。自分の事は気にせず、やるべき事をやっただけですし、ご飯買ってきましたから修哉と食べて下さい。」

「ありがとうございます。」

「採血取りますね。」
看護師さんが点滴を外してチューブを替え、慣れた手つきで採血する。

３人でその様子を見つめる。

「なんか、皆さんに見られてるとやり辛いんですけど…」
看護師さんが苦笑いする。

「そんなにたくさん採血するんですね。貧血なのに大丈夫なんですか？」
剣持さんが言う。

「何箇所か検査にかけるので、
貧血は血液量よりは血液に含まれている鉄分とか赤血球とかの不足で起こるので、このくらいは大丈夫なんです。」