クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

大浴場はとても広くて、まだ明るい時間為か人も少なくとても良かった。
お湯もサラサラしてお肌にしっとり美肌の湯だった。
私はさっきの修哉さん言葉がなかなか頭から離れず、赤くなったり青くなったお風呂の中でもがいていた。

湯船から出て先程借りた浴衣に着替える。
少し私には大人っぽかったかなぁ。と心配になる。
脱衣所を出て修哉さんを探す。
広々とした畳の間にくつろいだお客様もちらほらいるけど、どこに行ったんだろう？

あんまり動き回るのも良くないかなぁと、脱衣所前のソファに腰を下ろす。

「あの、お姉さん。1人ですか？」
不意に男性2人連れに声をかけらビクッとする。
「いえ、連れを待ってます。」

「お友達ですか？
もし良かったら今夜一緒にカラオケでも行きませんか？」

ナンパなノリにびっくりしながら見上げる。
こんな高級旅館にもこの手の人が来るんだと驚き固まる。
なんて答えるべきか考えていると、

「彼女に何か用？」
低い声が何処からかして振り返る。

「あっ、修哉さん」
安堵して駆け寄る。

怖い顔で修哉さんは男性2人に睨みをきかせる。
「あっ、いえ。なんでもないです。
すいません。」
2人はそそくさと小走りで去っていった。

「何、こんなとこでナンパされてるの。」
不機嫌そうにペットボトルを渡される。

「えっ！今のはナンパですか？」
「はぁ。ナンパ以外何だと思った？」
ぎゅっと手を握られ、歩き出す。

「私は修哉さんを待ってただけです。」
私の方を再び見つめ、修哉さんが深いため息を吐く。
「はぁー、
浴衣似合い過ぎ。浴衣着て、1人で外出禁止。」

今のは褒められたの？
首を傾けながら頷くしかなかった。

夕飯までの間、旅館を散策する。
庭の池に金魚がいたり、足湯があったりととても充実している。

「足湯やりましょう。」